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Jリーグが秋春制に移行しようとしているのはなぜか?メリットデメリットは?雪国クラブのサポが思うこととは?【Jリーグ/シーズン移行問題】

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Youtubeではこちらの文章をもとに解説した動画をアップしています。ぜひ。

 

◇秋春制導入のメリットとデメリット

Jリーグが秋春制に移行する方向で18日、推進していく姿勢を示したことが話題になっています。

ではなぜJリーグは秋春制に移行しようとしているのでしょうか?

そのメリットとデメリットをまずはおさらいしていきましょう。

また、Jリーグの公式Youtubeでは約100分に及ぶ秋春制についての動画がアップされていて、私もそれを見たうえで整理しつつ、持論を後半で展開したいと思っています。

新潟育ちのアルビサポなのでバイアスがかかるように捉えられるかもしれませんがなるべくニュートラルに話していきます。

 

◆秋春制導入のメリット

・2月開幕12月閉幕の現行のシーズンから8月開幕5月閉幕に移行することで6-7月の酷暑での試合数減少により選手のパフォーマンスが良くなることが期待される。

・また上記のシーズンは欧州主要リーグのシーズンと合致するので欧州リーグとの移籍のやり取りが活性化することが期待される。

・ACLのシーズンとマッチすることで、グループリーグと決勝トーナメントの編成が変わることを回避できる。

 

◆秋春制導入のデメリット

・積雪による試合開催と練習環境と交通網への影響

・集客の低下、試合開催日程の短縮による過密日程が懸念

・8月開幕に向けて酷暑にキャンプを実施する必要性

・教育年度(4-3月)とのズレで大卒、高卒選手の獲得への影響。引退選手のセカンドキャリアにも同様に影響。

・スタジアム確保で行政側との調整と他競技の利用者との調整で影響

・スポンサー契約での年度ズレ、移行期の半期増額交渉など

 

◆秋春制導入のメリットに対して…

・2月開幕12月閉幕の現行のシーズンから8月開幕5月閉幕に移行することで6-7月の酷暑での試合数減少により選手のパフォーマンスが良くなることが期待される。

⇒これはシーズン移行をせずとも酷暑開催を減らしたりもできるだろうし、一方で日程が詰まることによる過密日程での負荷と比べてどちらがいいのか分析がしつくされていないのではないか。

冬場の試合が増えることで怪我のリスクが増えることは無いのか?

 

◆秋春制導入のメリットに対して…

・また上記のシーズンは欧州主要リーグのシーズンと合致するので欧州リーグとの移籍のやり取りが活性化することが期待される。

⇒6-7月の欧州の移籍資金と12-2月の欧州の移籍資金は3倍の開きがあるそうだが、それはシーズンの違いによるもので個別の選手に対する移籍金や評価と直結するのか疑問。

また欧州から獲得する資金の見込みが無ければ効果がそこまでないのではないか?

 

◆秋春制導入のメリットに対して…

・ACLのシーズンとマッチすることで、グループリーグと決勝トーナメントの編成が変わることを回避できる。

⇒実際、編成が変わる難しさは一定程度あれど、実際今年浦和はACLで優勝している(決勝トーナメントまでと、決勝で編成が変わっていた、監督も変わっていた。)。今のシーズン制度で力が及ばないわけではないことが証明されているので果たしてその効果によるメリットがデメリットを大きく上回るのかは疑問である。

 

◆秋春制導入のデメリットに対して…

・積雪による試合開催と練習環境と交通網への影響

⇒これは非常に解決しづらいのではないだろうか。スタジアムだけ、練習場だけ除雪が進んでも電車や道路に関しては行政も絡む。またその労力は非常に大きい。除雪は重労働なのである。相手チームがスタジアムに到着しない懸念もあれば、雪国クラブが十分にトレーニングができない懸念もある。

酷暑でのパフォーマンスを懸念しているのに練習不足によるパフォーマンスの低下を懸念しないのはナンセンスではないか?

 

◆秋春制導入のデメリットに対して…

・集客の低下、試合開催日程の短縮による過密日程が懸念

⇒積雪や寒さの影響によりスタジアムへの足は遠のく可能性が高い。

過密日程により平日開催が増えればそれも集客の低下になるのではないか。

そうなるとサッカー人気自体が下がっていくことに長期的になってしまわないか?小中学生が夏休みに来場する機会が減ったら将来のサッカー界を背負う人材が減ってしまわないか?

 

◆秋春制導入のデメリットに対して…

・8月開幕に向けて酷暑にキャンプを実施する必要性

⇒結局6-7月にキャンプを実施したら酷暑の中プレーをするという点が解決するわけではない。

・教育年度(4-3月)とのズレで大卒、高卒選手の獲得への影響。引退選手のセカンドキャリアにも同様に影響。

⇒大卒選手、高卒選手の加入に3月卒業からラグができてしまう。有望な選手の獲得に支障が出る可能性も?

 

◆秋春制導入のデメリットに対して…

・スタジアム確保で行政側との調整と他競技の利用者との調整で影響

⇒クラブが自前でスタジアムを保有しているケースが少ないので自治体が保有しているスタジアムの使用日調整で行政の年度とのズレから、支障が出る可能性も?

・スポンサー契約での年度ズレ、移行期の半期増額交渉など

⇒移行する際に半期分のズレが生じるのでその分の契約交渉を全ての企業が飲むとは限らない

 

◇秋春制導入は果たして最優先事項なのか?

メリットデメリット、そしてそれに対しての批評も触れたが、やはりメリットよりもデメリットの方が大きいように思う。

そうなると秋春制の導入が最優先事項なのか?という疑問にもつながる。

個人的には秋春制の優先順位は高くないと見ている。

その中でなぜこんなに半ば強硬に近い形で進んでいるのか?と言えば、何かの圧力がかかっているのか利権が絡んでいるのか疑いたくもなる。

 

Jリーグの説明動画ではACLで優勝するチームを輩出し、クラブW杯でベスト8に進出すること。

それすなわちクラブの収益規模が200億円程度のクラブ(ナポリ、ベンフィカと同等)をJリーグ内に作ることにもつながり、リーグの価値も上がる。

クラブの収益性が上がり、リーグの価値が上がれば放映権料も上がり、Jリーグ参加クラブに配分する金額も増額するのでクラブの収益が上がり、良い選手が獲得できるようになる。

そんな展望の説明もあった。

 

一方で個人的にそのJリーグの動画の中で気になったのは内田氏の「ドイツは冬でもホットワイン片手に半袖でサッカー見に来る文化があるし、スタジアムにはヒーターが完備されている」という発言があった。

私はこの「文化作り」こそが最優先ではないかと思っています。

Jリーグは30周年を迎えて、100年構想のもと成長してきたわけです。

 

Jリーグ100年構想では…

・あなたの町に、緑の芝生におおわれた広場やスポーツ施設をつくること。

・サッカーに限らず、あなたがやりたい競技を楽しめるスポーツクラブをつくること。

・「観る」「する」「参加する」。スポーツを通して世代を超えた触れ合いの輪を広げること。

 

私自身、YoutubeでVlogなどでも公開していますがアルビを中心にいろんなチームの試合、スタジアムに足を運びました。

そこで感じたのは地域ごとによって差はあれど、「俺たちが支えてやんなきゃダメだろう」という熱い地域のサポーターたちの存在です。

これはJリーグが積み上げてきた30年間が成しえた素晴らしい成果だと思っています。

「おらが街のサッカークラブ」という意識を持った人たちが草の根運動で増えて行ってるのは間違いないです。

 

ただ、2017年のJリーグファンの平均年齢が40.1歳だったところから2019年には42.8歳になり、上昇傾向が続いています。

サッカーの人気をより拡大し、ファンの総数を増やす施策こそが重要で、そうして増えたファンがJリーグの文化を醸成させて、先に触れた冬季のドイツのホットワイン観戦サポの増加みたいな状況になることを目指すべきではないのだろうか。

 

そのためには秋春制の導入より先にアクセスの良い立地にスタジアムを作ることや、スタジアムへのアクセスを向上させること。

観戦環境の向上が重要になってくるのではないか。

野球のスタジアムはどこも駅から近いがサッカー場は駅から距離が離れていることの方が多い。これはそれこそ平日開催の観客数にも大きく影響するだろう。

仕事帰りにふらっと寄れる環境を作ることがサッカーをより身近に感じてもらい、ファンの拡大に寄与するのではないだろうか。

 

当然、スタジアムの新設やアクセス向上には資金が必要である。Jリーグの純資産は73億円あるが、それで60クラブのスタジアムを改善することは不可能である。資金が足りない。

であれば、福岡にはDMMが、FC東京にはミクシィが、町田にはサイバーエージェントが、神戸には楽天が、鹿島にはメルカリが資金を投下している。IT企業が参入してきているのが近年のJリーグである。

そうなるとスポーツベッティングなどの実施でのサッカーへの関心度を上げる施策や、放映権料の増額も見込めるだろう。

 

何も資金集めはACLで優勝したり、移籍金だけがすべてではない。

とにかく観戦環境の向上をベースにサッカーへ興味を持つ人口を増やすことが重要である。

小中学生も無料招待などを活用してでもスタジアムに来て、プロのサッカーを生観戦してもらう。そこからJリーガーを目指す有望な選手が生まれるきっかけにもなるだろう。

加えて言えば、そうして育成年代の層を厚くすることで将来海外でも活躍できる選手を上手に育ててJリーグの価値を上げ、移籍金を獲得することが現在のJリーグにとってはより長期的なメリットがあるのではないか。

欧州からの選手獲得でリーグの価値を上げるよりも自国の育成を強化して世界に通用する選手を輩出することでリーグの価値を上げていく事の方が良いのではないだろうか?

そのためにもサッカーファンを増やす必要があるし、スタジアムに足を運びやすい環境にすべきである。

 

そう考えた時にやはり秋春制の導入は優先度的には最優先ではないということが見えてくる。

この議論は秋春制の導入ありきで後付けで理由をつけたように聞こえるのは、日本のサッカーが向上するために最優先でないことと、既定路線感のある合意形成のうまくなされているない議論の進捗とが絡んでいるからだろう。

10年後、30年後、50年後には秋春制になっているかもしれないが、Jリーグの現状、日本の気候、教育年度などの外的要因を含めれば容易ではないし、やはりメリットよりもデメリットの方が多いだろう。もっと先にやるべきことがあるはずだ。

 

 

 

 

 

 

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